空を見上げて興味深いなにかがあるかのようにゆっくり歩くこと

比較的ものごとを楽観的にとらえる傾向がある。それはおそらく僕の環境によるものだとおもうのだけど、ふとなにもかもをこなせるような気がしてしまう。それは気分がわるくなるものではないんだけど、もちろん僕になんでもできるわけではない。

だからときどき自分の不確かさをたしかめる。具体的にいうと空を見上げながら、後ろ向きに歩く。できるだけ長い距離を。慣れていないから平衡感覚がわからなくなる、自分がなにをしたいのかわからなくなる、自分の聴覚や視覚が信じられなくなる。そうして自分はこんなこともできないんだと自分に申しおくる。
それは知らない人がみたら奇妙な光景にみえるとおもうので、できるだけ深夜か早朝におこなうのだが、ときどき人に出くわす。相手も空を見上げる。もしかしたらなにかおもしろいことが起こっているんじゃないかという顔をして。

そんなとき彼、あるいは彼女にむかって、いやあいま自分の不確かさをたしかめていたんですよ、期待させてしまって申し訳ありませんと言いにいくわけにもいかない。そういう訳にいかないのでやっぱり空を見上げて興味深いなにかがあるかのようにゆっくり歩くのだ。そして、ほらそんなことも僕にはできないじゃないかと思うのだ。